恋をしたことがないだって?かわいそうに。
タイムラインに今まで恋をしたことが無い人がいた。
心の底から気の毒だと思った。
俺が最後に恋をしたのは4年前の春───
「見てるんだろ?」
そう呟く部屋にいるのはただ一人。
「俺はキビキビと歩くぜ……ッ!」
街を一人闊歩する。
俺は常に"彼女"に見られてることに酔い知っていた。髪を長く伸ばしギャルゲーの主人公気取り。今思えば滑稽。でも当時は本気だったんだ。
でも、長くは続かなかった。よく時間は残酷だって言うけどその通りだと思う。俺と"彼女"の距離はどんどん空いていった。
"彼女"は悪くない。悪いのは全部俺だ。俺が他の女に気がいってしまった。
いわゆる浮気ってやつ。いや、不倫か。
それでも"彼女"は笑ってくれた。
こんなどうしようもない俺に微笑んでくれた。
あれから月日が経ち、今日も部屋から聞こえてくる。
「見てるんだろ?愛佳───」